行商レポート vol.22:展現舎

courtesy of each artist, TENGENSYA, gemba-firm and SPIRAL/Wacoal Art Center
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展現舎のギャラリー紹介は こちら から
展現舎に関しては撮影した全ての画像を当記事に掲載しています(出展者リストとして PHOTOSTREAM にも載せています)


行商会場である青山スパイラルのスパイラルガーデンに入ってすぐ、受付隣にブースがあった展現舎は、大阪は江戸川橋に居を構えるギャラリーで、新しいジャンルの女性作家を世に紹介すべく、女性作家のみの取り扱いというユニークな活動形態を取っています。新しいジャンルを、というだけあって取扱作家のプロフィールを見ると、そのバックグラウンドは多岐に渡り、ギャラリーのアンテナが捉える範囲の広さと感度の高さが伺えます。今回紹介した作家は4名、倉澤梢さん、倉澤梓さん、momoさんにたつみさんです。倉澤さんおふたりは双子の姉妹です。この記事最初の写真は引きで撮ったブース全景になっていると思うので、そちらを引用して各作家の紹介をば。ブースは全体的にポップですね!どポップと言えるぐらいのポップ。キャプションを確認しなくても全員女性作家だろうなぁと分かる可愛らしさも備えています。

さて、ブース壁左から順番に行きます。どことなくレトロな女性像を描くのは倉澤梢さんです。顔を構成するパーツのバランスなのか、透明感もある色使いながら良い意味でモッタリしていて、ある種の女性内面に潜む情念の強さや在り方を感じさせたり。情念系の絵の典型から外れているかもしれませんが、それとは分からない表情や行動をしている女性が本性を現わした方が怖いんですって。私の全くの妄想なのですが。倉澤さんスミマセン。姉妹的な順番で、真ん中下半分から逆L字型(分かりづらい?)に展示されていたのは、倉澤梓さん。特徴的な表情を持った猫がキャンバスに、立体に縦横無尽に動き回っていますね。可愛いです。二足歩行なので人間の行動や感情のメタファーとしての猫なのかもしれませんが、孤独や囚われを表現している様な作品も、猫だと何となく柔らかく伝わってくるから不思議です。オブラートに包む事で、受け入れ難いモノゴトをそれとなく相手に届けてしまっているなら、実は攻撃的な手練なのかもしれませんが。

真ん中上半分はmomoさんの作品です。ヘッドホンを付けたふたりの女の子に、うさぎの被り物をした女の子ふたり、カバンからうさぎがチラ見している女の子がひとり。女の子のファッションはよく分かりませんが、原宿的にシャレオツな女の子の横顔を眺めている様な作品でした。短冊形と言えばいいのか細長いキャンバスに描かれた作品のうさぎは、女の子が持つ何かしらのオブセッションを現わしている様にも見えました。最後はたつみさん。ジェリービーンズなどのお菓子や人形などが女の子の周りを埋め尽くさんが如く、あるいは女の子にもかぶせて描かれています。どの作家も素直に絵を描いている感じはしますが、なかでも特に屈託のないポジティブな世界が可愛らしく広がっている気がします。また、どの作家も共通言語としての「カワイイ」を無理に追いかける事なく、伸びやかに生きていて良いなぁと思いました。