行商レポート vol.21:SANAGI FINE ARTS

courtesy of each artist, SANAGI FINE ARTS, gemba-firm and SPIRAL/Wacoal Art Center
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サナギファインアーツのギャラリー紹介は こちら から
サナギファインアーツに関しては撮影した全ての画像を当記事に掲載しています(出展者リストとして PHOTOSTREAM にも載せています)


写真作家を多く取り扱うギャラリーのイメージが強いのですが、開廊以来ペインターも少なからず紹介して来たサナギファインアーツ、今回の行商出展にも油画の岩名泰岳さんが出品されています。写真は2名、西澤諭志さんに武田陽介さんと、ギャラリーの看板を張れる様な作家達による充実した内容になっていたんではないでしょうか。

白と黒という色の対比が印象的で、かつザックリと壁に立て掛けた設置でさえ映える作品の力強さが魅力的だったのは、西澤さん。部分として切り取られた作品に映る風景は、作家にとってありふれたモノなんでしょうかね。そういう風景が見せ方によって美術としての性質を帯びるのは面白いんですが、西澤さんの今回の作品については、個人的にペインティング作品として見て来たミニマルな空間の作られ方も反映されている様な気がして、どういうポリシーで制作されているのか思わず気になってしまいました。武田さんの作品はギャラリー個展でも見た事があるのですが、コンセプトというより、より「自分にしか切り取れない色」を探求している作家なのかなぁという印象を持っていたので、作品のサイズ感も併せてポップな感じが新しいなぁと。個人的な経験による言及で済みません(汗)武田さんの作品について感じる色彩への探求は、写真だからとか絵画だからとかいうジャンル分けを無効にして、普遍的にいっこの美術作品として面白いんじゃないんでしょうか。なんか撮れば撮る程面白い作品が撮れそう。今後の活躍を期待する所です。

どこかハードコアにミニマルな強さを感じる写真作家2人が並んでいるだけに、岩名さんのペインティングがまた鮮明に印象に残るサナギファインアーツの出展内容でした。おとなりのアウトオブプレイス、関さんについても同じ事を書いていましたが、花が開いた様な画面を見てもその色彩から「血だな」と考えてしまう、短絡的な自分の思考回路が恨めしく思えてしまうのです。厚手の絵具の迫力は、絵を描く時の無邪気なまでの筆の動きを想像してしまうのですが、無邪気に血…やっぱり違うね。当ブログのギャラリー紹介に載っている岩名さんの作品、タイトルは「冬の花」なので、もっと素直に楽しんで良いみたいです。ただ、花って色んな事のメタファーになり得ますよね。岩名さんの花を見てあなたは何を感じますか?考えますか?現代美術を初めて見た時に、自然に自分の中に生まれた問いを思い出しました。