行商レポート vol.15:Roentgenwerke

courtesy of each artist, Roentgenwerke AG, gemba-firm and SPIRAL/Wacoal Art Center
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レントゲンヴェルケのギャラリー紹介は こちら から
レントゲンヴェルケに関しては撮影した全ての画像を当記事に掲載しています(出展者リストとして PHOTOSTREAM にも載せています)


行商の実行委員長である池内務さんが代表であるギャラリー、レントゲンヴェルケの出展内容を紹介します。

現在日本橋馬喰町に居を構えるレントゲンですが、そのギャラリーの扉と同じ色である壁にはカンノサカンさんの白い作品が、広い壁には左手から村上隆さん初期の名作「レイチェル」、方眼紙に描かれた料理や食べ物がユニークな児玉香織さんの作品が2点、桑島秀樹さんの大きな写真作品、そしてブース向かいには藝大の卒制発表から間もなく、フェアで取り扱われる事となった清水僚太郎さんのルアー作品がそれぞれ並んでいます。※桑島作品がブログ記事だと右寄りに映っている様に見えますね。クリックして画像を確認するとちゃんと作品が中心に来ているのですが。。。

清水さんがこれから継続的にレントゲンの取り扱いになるかはまだ分かりませんが、レントゲンの創成期に共闘していた村上さんからあまりに新しい清水さんまで、今年で20年という歴史を有するレントゲンの、挑戦的な側面を目撃出来た様な内容となっていたと思います。話題性としては村上さんと清水さんに目が行きがちかも知れませんが、現在のレントゲンの4番バッターと言えるカンノさんは、カンノ作品でこれまであまり目にする事がなかった(僕だけ?)白×白という新しい色彩が鮮烈な印象を残してくれました。ブレる事のない強度ある荘厳な世界観を見せてくれるのは桑島さん。言葉不要な迫力は個人的にファンで癖になっています。毎度ながらかっちょいいです。児玉さんの作品も面白いですね。その要素要素を追えば何の料理か分からなくはないのですが、その大きなサイズ感も相まってか、程良い抽象感さと異形さが与えられて、理屈ではなく感覚で、細部ではなく全体で「感じられる」作品になっている様に思います。

4月に本来開催される予定だった谷崎一心さんの個展は延期となってしまいましたが、その手を緩めることなく日本現代美術の「次」を提示し続けるレントゲンヴェルケ、次は何を見せてくれるか楽しみになる様な出展内容でした。

行商レポート vol.14:Lower Akihabara.

courtesy of each artist, Lower Akihabara., gemba-firm and SPIRAL/Wacoal Art Center
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ロウワー・アキハバラのギャラリー紹介は こちら から
他の展示風景・作品画像は こちら から。


増保美術とギャラリー小暮が協同で設立したギャラリーという事で、日本画及び日本画に影響された作家を紹介しているイメージが強いギャラリーです。何がどういう事かって、両ギャラリーを検索して頂ければ分かるかと(人任せ)実際はジャンルや世代を問わず良い作家を紹介しているギャラリーなのですが、今回行商に出展された作品の多くは世界観と技術の両面において、日本的な、日本の美術に基づいている様に思えました。ですが、どれも良い意味で一癖も二癖もある作品ばかり。それぞれの作家が影響を受け大事にしてきた価値観の本質を引き継ぎつつも、あるひとつの在り方に囚われず、挑戦的に刷新していく求道者達が集まったブースからは、一種異様な迫力が漂ってました。落ち着いた色彩の作品が多かったので華やかさとはまた違いますが、初回で探り探りな部分もあるフレッシュなフェアをセレブレイトしている様な雰囲気を、平均して大きめだった出展作品から勝手に感じていました。

今すぐに名前と作品が一致するのは、ユニークな表情を持った風神雷神を描く瀧下和之さん、その色彩から見ただけでは水墨画である事が分からない面白さのある山口英紀さん、妖艶ささえ感じる狐の様な動物が描かれた三田尚弘さん、羅展鵬(ローチャンペン)さんは、独特のトーンで印象的な女性の顔を描いています。アップだし、片方は牙が生えてるしね。赤く尻尾に紋々を背負った猿の立体に、狐火を纏っている浮世絵の様な女性など、特に目を引いた作品なのに、文字で記録を取っていなかった為に作家の名前まで覚えていなかったりします。誠に申し訳ない。後で聞いておきますね。