行商レポート vol.09:TEZUKAYAMA GALLERY

courtesy of each artist, TEZUKAYAMA GALLERY, gemba-firm and SPIRAL/Wacoal Art Center
※当ブログで使用している画像の無断転載を禁じます。

テヅカヤマ・ギャラリーのギャラリー紹介は こちら から
他の展示風景・作品画像は こちら から。


大阪から出展のテヅカヤマ・ギャラリーを紹介。4月4日の深夜に放映された「汐留ギャラリーハウス」という番組では、商人(あきんど)ギャラリストとして紹介されていた松尾良一さんはこちらの代表です。創立平成4年という事は、来年で20周年になるんですね。主な取扱として紹介されている作家陣は若手〜中堅が多くフレッシュな感じがして、大御所ギャラリーのひとつながら常に攻めの姿勢を崩さない強さと潔さがありますね。行商への出展作家は3名。住吉明子さんに上原浩子さん、大江慶之さん。出展作品の全てが立体作品です。立体のみでの出展ギャラリーは今回はテヅカヤマ・ギャラリーのみです。

住吉さんは石粉粘土を用いた可愛い動物の作品を沢山出展。どこかアニメの動物キャラクターに見えなくもない現実には存在しない動物は、見た目とっても可愛いのですが、その白さからどこか神獣に見えたり、作品によって体の一部となっている花が内臓を表に出している様に見えたり、ただの可愛いでは済まされない異形さが面白かったです。横並びに設置されたうさぎみたいな小作品はそんな穿った見方しなくても素で可愛いです。このブログで何回可愛いって言ってるんだろう、自分。

上原さんの作品は、向かい合わせに座る上体のみの2体の人物像。あなたに触れる為の手とあなたに歩み寄る足、深く交わる性的な部分、それらは途中から溶けてなくなっているようです。膨らみのあるようなないような乳房は性別を不詳にしています。思慮深い表情をしたふたりは、世の中のありとあらゆる常識的なものから外れた世界にふたりだけで生きて、二度と触れあうことはなくてもあるいはそれが必要ないぐらい深く理解し合っているよう。また、どれだけ理解し合っていても、他人同士がひとつになることは出来ず、溶けた部分は相手を理解したいという渇望の現れにも見えます。ハイっ、妄想失礼しました!

程なくギャラリーで個展が開催される大江さんは、骸骨の形に組まれたお花を被った子供の立体作品を出展。1点のみの出展だったのですが、その存在感は非常に強く、併せてブースに置かれていた大江さんの作品を紹介する冊子を熱心に読んだり買われているお客様も多くいました。花が骸骨になっているって、言われるまで気付きませんでした。鈍感で済みません。その事にも気付かないぐらい、そもそもの表現力技術力に感心していたという事で、ひとつ許してやってください。ギャラリーのアーティストページも見て頂きたいのですが、何ともいえぬ表情をした子供が何かをしたり何かを持ったりしている作品が、平面立体に問わず多いようです。立体を見ると感心するばかりの丁寧な作りなのですが、昆虫と子供をフィーチュアさせた作品などは、昆虫のリアルさが怖いぐらい。それを子供が抱きかかえるという有り得ないサイズ感(全体としては小作品と言える大きさなのよ)の面白さは、まだ見ぬ大江さんの他の作品をいつか目の前で見たいなぁと、期待させられるばかりなのですが、実際見たらやっぱり昆虫の部分に関しては怖いんだろうな。