行商レポート vol.07:GALLERY ZERO


courtesy of each artist, GALLERY ZERO, gemba-firm and SPIRAL/Wacoal Art Center
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ギャラリー・ゼロのギャラリー紹介は こちら から。
ギャラリー・ゼロに関しては PHOTOSTREAM の写真もほぼ同一内容です。


行商には東京以外のギャラリーも参加していました。そんな中から大阪のギャラリー・ゼロを紹介します。今回は高橋将貴さん、桑原正彦さん、坂井淑恵さんの作品による出店です。アートフェア東京に出展経験のあるギャラリーなので、関東在住の人でも名前を記憶している人はいるかも知れません。

高橋将貴さんは石膏の具象彫刻とアクリルによる平面作品を出展。皆さん外国の人に見えますね。ギタリストは明らかにギタリストなんですが、キャプションを覚えていないのもあり(←オイ、コラ)何の職業か何をしているのか、平面に関しては説明がなければ何をモティーフにしているのか(タスキを掛けている男性は選挙候補者かか宴会部長か、耳に何かを当てている男性は音楽を聴いているのかサンダーバードに乗ろうとしているのか)、どの作品も無表情故に却って強い印象を残します。真面目な表情か、目的があってのポーカーフェイスなのか。さっきから自分の妄想に基づいた二項の選択ばかり挙げていますが、具体的な何かを描いているけれど、想像の余地もある。個人的に深みを感じる作品です。

高橋さんの作品の隣には、桑原正彦さんと坂井淑恵さんの作品がそれぞれ混ざる様に展示されています。L字型の短い方、縦二つに並ぶ作品は坂井さんの作品ですね。水で浸された人の頭に雨が降るシュールなペイントや、木の肌を描いた様なドローイングもありましたが、光や水面をモティーフにしていると思しき(ちょっと調べてみた)坂井さんの抽象画は、光や水そのものが持つ空間性、人間の認識じゃ捉えきれないそれらの広がりをも描きだしている様に見えました。自分の近くに置いて、心を投影するには打ってつけの作品だったんじゃなかろうかと。

桑原さんの作品は、あ〜、もう、可愛い!ですね。終了!って〆てしまいそう。可愛いだけ書いてちゃ物事の表層しか見ていない気もして、じゃあ可愛いって何なんだろうと、答えのない問いが生まれる…素直に作品を見ていないですねぇ。私が見て思う可愛いは、普遍的な可愛いなのか。繊細な人はその可愛いの裏側にグロテスクなまでの何かを見つけているのか。単純な感想が先立ち過ぎると、描かれた対象が織りなす物語に潜む本質めいたものを見つけたくなります。桑原さんの作品と向かい合ってそんな事ぐにゃぐにゃと考えちゃうのは、私だけでしょうかね。私だけでしょうきっと。