行商レポート vol.17:eitoeiko

courtesy of each artist, eitoeiko, gemba-firm and SPIRAL/Wacoal Art Center
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エイト・エイコのギャラリー紹介は こちら から
エイト・エイコに関しては撮影した全ての画像(1点を除く)を当記事に掲載しています(出展者リストとして PHOTOSTREAM にも載せています)


ブースの壁を目一杯使い非常に多くの作品を出展して楽しませてくれたのは、神楽坂のギャラリーeitoeiko。その壁面一杯を占めるのは江川純太さんの抽象画。ていうか、ディレクター・癸生川さんのブログを読んだら、江川純太祭りって書いてありましたね〜。薄い灰色の背景に散らばる厚手に塗られた様々な色彩の結晶達は、その色その形その連続性によって、見る人それぞれに解釈を委ねる鍵となっている様です。あるいは灰色の画面を破り出てくる色の層を楽しむ子供の動きを想像してしまいました。暗闇の奥に見える光の層や粒が印象的な村岡佐知子さんの作品とも類似する部分があるなぁと、まぁ他の作家と比較しても仕方ないのですが、ふと江川さんについて少し調べてみたら、江川さんと村岡さんって、鎌倉にあった作家主導のギャラリースペースを共同運営していたメンバーで仲間なんですね。ビックリしました。

どちらも清潔な白が印象的なのは、女性胸像の高杉恵さんとストーンエッチングの白須純さんの作品です。白須さんの作品を背景に高杉さんの作品が置かれているのって、ふたりとも今回eitoeikoから出展された作家の中では特に、海外での制作経験や実績が豊富な作家同士なので、面白い位置関係だなぁと思いました。色彩が対称的で展示に面白さを加えている写真作品は、ニッポリーニと谷井隆太さんによるもの。個人的にふた組の個展には行こうと思って行けなかったので、実作品を見れて良かったです。ギャラリーの方向性や今年のモードを発信出来るのもアートフェアの場ではありますが、場合によっては見れなかった作家作品のフォローが出来たりして、ひとつぶでふたつお得だったりもします。〆は青秀祐さん。外見を実物そっくりに似せた模型(ここではモックアップと呼ばれる木製原寸模型)に和紙デカール(和紙への転写)の技法で、工業製品としてのジェット機を美術作品として再構成した作品になります。展開図におけるジェット機の図形的な組み合わせのバランスの妙は、視覚的に面白くて見ていて飽きません。また青さんは、組み立てたジェット機のひとつひとつを部分としてダイナミックなインスタレーションを展開していたりするので、小さなその飛行機が大きく羽ばたいてゆくを想像するのも楽しいんじゃないでしょうか。機会があれば、その壮大なインスタレーションも是非目撃して頂きたい物。

ギャラリーブースの企画テーマは、江川純太祭りであるとともに、言葉通りの行商において持ち回る風呂敷を広げた姿だったそうで、確かに、歩いて回った先にいる色んなお客様が楽しめる内容になっていましたね。